3年ぶりにニューヨークへと降り立った三郎。出迎えたのは、旧友のベンとアビーだった。
祖父・京助が殺害された現場を訪れた三人は、ひとりの老人と出会う。彼は祖父と旧知の知り合いのようだった。
「落ち着いたら、ゆっくり話でもしよう」と言い残し、老人は去って行く。
その後、夕食へと出掛けた三人はもうひとりの旧友・レオと再会する。
楽しいひと時。やがて、話題は三郎と三人が初めて出会った“サマースクール”の話題へと移る。
全員の記憶に残る、ある出来事。サマースクールの先生だったエマが行方不明になった事件。
三郎少年は他の仲間たちと共に調査に乗り出し、子供ながら驚きの推理力で調査を進めるのだが……。
夕食を終え、祖父の事務所を訪れた三郎は、誰もいないはずの事務所に明かりが点いていることに気付く。
まさか、祖父を殺害した犯人が?
謎の侵入者を確かめるべく祖父の事務所へと踏み込んだ三郎はそこで意外な出会いを果たす。
「今は知りたい。じいちゃんが愛した、この街を。じいちゃんが、見ていたものを。」
この街に息づく祖父の姿、声。
そんなことを肌で感じながら、祖父を知るさまざまな人物たちと出会っていく。
それらがいつしか、三郎の心に変化をもたらしていくのだった。
そんな中、事件の容疑者とされる人物について知ることとなった三郎は、
祖父の最期を知るその男と会うことを決意するのだった。
祖父の足取りを追い、人々の声に耳を傾けるうちに三郎は「呪縛の街」という謎めいた言葉に導かれていく。
果たしてこの言葉が意味するものとは何か?祖父との関係性とは?
「まだ、確信があるワケじゃない。ただ、じいちゃんが教えてくれた思考の樹に
一滴の水が滲み込んでいくのを……オレは、かすかに感じていた。」
若き名探偵は、祖父から受け継いだその能力を徐々に開花させながら犯人へと迫ってゆく。
祖父を殺害した犯人。呪縛の街。そして「ダイダロス」。
幾重にも張り巡らされた悪意が若き三郎を深い闇へと引きずり込んでいく。
見え始めた真実は、祖父が愛したニューヨークの裏の顔を浮き彫りにしていくのだった。