一年前、とある夏の日に起きた二つの事件。神宮寺と助手の洋子はそれぞれの立場から事件に関わる。一枚の絵を巡る謎と、『嘘』に満ちた家族。そして、母親の行方を捜す幼い少年……事件はそれぞれの傷を浮き彫りにしながら、やがて絡み合う……果たして、神宮寺は、洋子は、偽りの中から真実を見つけ出す事ができるのか!?
神宮寺の元に届いた一通の手紙。それは「ある事件」を引き起こした張本人からのものだった。「ある事件」……手紙を読み進める神宮寺は記憶を辿るように、その事件を回想する。全ては、ある有名写真家の作品が切りつけられた事件から始まった。室殺人、偽装殺人……次々に起こる不可解な殺人の数々。神宮寺は、それらの謎を解明する事が出来るのか?そして、手紙の中から語りかけてくる犯人の正体とは?神宮寺が手紙を読み終えたその時、全ての謎が明らかになる……
御苑洋子は一人、新宿の街を彷徨っていた。その目的とは、数日前から姿を消してしまっている神宮寺を捜し出す事だった。一方その頃、熊野参造はいつもの様に、神宮寺探偵事務所を訪れていた。しかし、そこには神宮寺と洋子の姿はない。二人の身を案じる熊野の元に届いた、病院からの知らせ。その病院に向かった熊野の目に映ったのは……熊野と洋子はそれぞれの想いを胸に、神宮寺失踪の謎を追う。
相反する二人の探偵――新宿歌舞伎町に事務所を構える神宮寺三郎。池袋を中心に活動する“竜”こと、榎本竜太。彼らを結びつけたのは……失踪した暴力団組員の捜索依頼、そして、警察官殺害事件である。二人の探偵に、次々と降りかかる出来事。全ては、見えない糸で繋がっていた。それらの背後に暗躍する黒い影の存在を、二人の探偵は追いつめる。果たして、彼らは暗躍する黒い影の正体を突き止めることができるのだろうか!?
ある一人の男と共に、不運はやって来た。男は小説家の菅野と名乗り、神宮寺に小説のアイデアの為の依頼を申し込む。それは事故死を装った殺人をどう見破るかというものだった。菅野は言う。「もちろんこのケースは私のただの空想ですけどね……」しかし、そんな変わった依頼が、恐ろしい事件へと発展する。その殺人が、実際の事件として起こったのだ……
空が茜色に染まる頃、神宮寺探偵事務所に現れた男が、スリの捜査依頼を申し込んだ。神宮寺が捜査を開始すると、スリの共犯者として、意外な人物が浮かび上がる。それは……美優と言う名の女子高生。優等生の顔と、スリの共犯をしている顔……二つの顔を、あまりにも見事に使い分けて生きるその姿に、神宮寺は言い知れぬ危うさを感じ取った。そんな彼女との対峙以降、事態は急速に動き出す。果たして、神宮寺は隠された真実を解き明かし、二つの顔を持つ美優の心の闇に、光を差す事ができるのだろうか……?
神宮寺は、父親を殺されたという藤木美佳からの依頼を受ける。その事件は既に、殺害現場にいた樋口隆司を犯人として指名手配しているのだが、なぜか美佳は彼が犯人ではないと思っているようだ。やがて、美佳の父と隆司の母はかつて再婚までしようとした関係である事が判明する。一年前、彼らが唐突に美佳達の前から姿を消すまでは……。しかし、未だに美佳にとって彼らが『家族』のような存在である事に変わりはなかった。
「ひと月前から連絡が途絶えた友人を捜し出してほしい」それだけなら、特に変わった依頼ではない。しかし、これまでと違ったのは、依頼人は友人の顔を知らない、という事だ。依頼人の名は、姫路亮太。都内の高校に通う17歳。神宮寺はインターネット上で知り合った友人“ツバキ”の捜索を引き受け、亮太と共に行方を追い求める。そして、懸命な捜索の末、遂に、神宮寺と亮太の二人は、ツバキのもとに辿り着いたのだが……それは、新たな調査の始まりを意味していた。
神宮寺事務所に訪れた飛井憲吾と名乗る男は、1年前に賭け将棋が行われていたスナックで出会った男だった。そこで行われた2人の真剣師・桂木晋介と金嶋宗二の賭け将棋対決は神宮寺の脳裏に強く刻まれていた。憲吾は誘拐された恋人、翔子の捜索を依頼する。「娘の命が惜しければ、今度の勝負で負けろ」……何者かが、近々賭け将棋の代打ちを行う晋介へ脅迫してきたのだった。調査を開始した神宮寺は、背後に見え隠れする闇に次第に迫っていく……
「俺は呪われている」そう言葉を残して自ら命を絶った浅田健太郎。健太郎の恋人、西田由美子は健太郎の自殺の原因を調査して欲しいと神宮寺に依頼する。由美子に話を聞くと健太郎自身は、「呪い」に心当たりがあるようだった。依頼を引き受けた神宮寺は調査を進めるうちに、今はダムの底に眠る美倉村での出来事が大きく関係している事が分かる。健太郎が呪われる事になった理由とは……?過去に美倉村で何が起きたのか……?20年という歳月を経て繰り返される復讐劇に、神宮寺は終止符を打つ事が出来るのか……!?